ズワース
使用キット:バンダイ 1/72 HG ズワース

制作・文:レオン
■ はじめに
HBABシリーズの2作目として発売されたズワースです。発売当時は旧キットと比べ、ものすごーくかっちょえーく見えたのですが、最近見てみると「なんだこりゃ」という感じです。実は、はじめにキット選定をする時にビアレスとどっちにしようか悩んだのです。ビアレスの方がストレートに組んでも問題なさそうなのだけれど・・・。しかーし!私なぜか、ラスボスというか番組終盤の敵メカが好きなのでどうしても捨てきらなかったのです。(ZでもTHE−Oだったし、でもガラバはキット無いし)

■ 仮組み
仮組みをしてみました。悲しくなりました。うちひしがれました。
「かっちょわり〜」「ちゃんと立たない〜」「やめときゃよかった〜」
なにせパーツが合いません。段差はひどいし。コンバーターが重くて立たないし。無理に立たせると前傾というか「じじい」というか、なさけないメカです。これにどう手を加えると見られるようになるんだろうかと悩むこと数ヶ月。このキットの制作時間の2/3をここに費やしてしまいました。
(はじめの1ヶ月は見るのもいやで、お蔵入りしていました。)

■ 構想
しかし、逃げていても何も解決しないので、やっと考えることにしました。とにかく立たなきゃしかたがない。かといって普通に組んでも絶対立ってくれない。これはもう思い切って固定ポーズにして、台座をつけるしかない、ということになりようやく制作を再開しました。
さて、どんなポーズにしようかなと。あれこれいじってみましたが、関節の可動範囲はせまいので、どんなポーズをつけてもいまいち。ゴム製(?)の関節カバーはそれなりの雰囲気なのですがいかんせんこれが可動範囲をスポイルしてる。→これも自作か・・・はずしてみてもそんなにかわらん
オーラバトラーはもともと生物の外骨格を利用してつくられたとうことで生物的表現がセオリー、といってもやったことないしなあ。(J.J.さんはちがった解釈をなされてますが)
よく見ると細かいところもきになるなあ。まずは「顔」が気に入らん。人形は顔が命!(といってTHE−Oの時もかおつくりなおしたっけ。)それにどっかのばあちゃんの黒くなった甘栗みたいな爪も気に入らん。ということで今回のプランを整理してみました。
@ 固定ポーズでかっちょよくする。
A 生物的な表現。
B 細部の自己解釈による修正。

■ プランその1 〜固定ポーズ〜
はっきりいって、固定ポーズって初挑戦です。固定ポーズってみなさんは上から?それとも下から?そんなこともわからずやり始めたもののまずはどんなポーズにするか決めないことにはね!
○ ポーズをつけるのに、可動範囲の狭い関節では話にならないので、WAVEの関節を使って動けるようにしました。でも、やはり問題になるのは定番中の定番、股関節。これはあきらめてべたっと接着することに決定。
○ ズワースって重そうなABだから飛びかかるような躍動的なポーズは、ちとイメージがちがうのでわりと落ち着きのあるポーズにしようと思いました。なので、攻撃に移る前の「構え」にすることに決定。
○ 固定ポーズって着色もめんどくない?固定して影になる部分はあらかじめ着色。みなさんはどうしてます?

■ プランその2 〜生物的表現〜<
これっていろんな技法が紹介されてますよね。本HPの掲示板でもパテを使った方法が出てましたね。とりあえず今回は溶きパテをたたいてやってみようかと思ってプラ番で試してみたのですが思ったようにうまくいかないのと乾燥を待つのが面倒なのとでキャンセル。やっぱ表面がザラザラしてるのがいいなあと思うので今回はモーターツールでガリガリやることにしました。
オヤジもでらーさんの作例が早々とでてまして、見てみたところ素材感のちがいってのもおもしろそうなのでパクらせてもらいました。

■ プランその3 〜細部の修正〜
まずはやっぱり気になってしまった「顔」。別に劇中のイメージはわりとよくとらえているとは思うのですが、なんで口のところが赤い玉なの?しかも何であんなにでかいの?という疑問が頭をはなれません。どちらかというとOVAのズワウスのイメージの方が好きなのでそんな感じにしてみようと思いました。イメージが固まるまで何度もスケッチをしてやっとこんな感じかなということになり改造開始。
○ まずはなぞの赤い玉と目。キットでは内側のベースを左右からヘルメット?ではさむようになっているので、気に入らない赤い玉と機械的な目をデザインナイフで削りました。ベースにエポパテを盛り、目玉の部分を丸く削り、そこにWAVEのHアイズを埋め込みました。口?のところはズワウスにはやはり目玉のようなものがあったので同じくHアイズを埋め込みました。着色は失敗するのがいやだったので、ちょちょいと消せるリアルタッチマーカーを使いました。黒で瞳を入れ、茶色で虹彩をかいてみたところそれっぽくなったので即採用しました。
○ 次に全体の形状です。生物と言うからには、もっと曲線的な方がいいし、目玉に負けない雰囲気を出すためにはやりパテでまぶた(?)や、角、頬などを作成。元々あった大きな角は削って細くしてみました。これはこれで気に入ったのですが、前ばかりボリュームが有りすぎる感じがしたので結果的には、後ろに向けて頬の後ろに角が生えました・・・
○ 足なのですが、全体的に小さく爪は短いので安定感がないので、カットして前後に延長し、爪を長く整形しました。


■ 細かいところ
細かいところですが、胸と盾の赤いマーク(?)の部分はキットだとシールなんですよ。なんかそのまま色を塗ってもおもしろくないので、ここもモーターツールでガリガリとやって模様をつけてみました。
それから、コンバータ内や横の丸いダクト内のフィンはエッジを落としてみました。
キットについてたゴム製の関節カバーは、首の部分だけを採用し他の部分は瞬間接着パテで自作しました。


その1 瞬間接着パテ

今回は関節部のうねうねを表現するのに使いました。粉末と溶剤を混合して使うのですが、あっという間に固まるので気が短い自分にはぴったりでした。溶剤との混合比率で粘性や硬化時間が変化するのですが、2〜3分で整形しやすい堅さになり、5分ぐらいで固まってしまいその後は削るなどの加工ができます。混ぜ方などによって気泡ができたりします。また、瞬間接着剤のような刺激臭をともなったガスを発生しますのでくさいし、目にしみるので注意が必要です。(価格1500前後とちょっと高め)

その2 スパチュラ

歯医者さんの道具みたいですが、フィギュアなどをつくる人にとっては常識的なツールらしいです。ねんどやパテなどの成形に使うものです。今回は瞬間接着パテが固まる寸前にこいつをちょんちょんと押し当ててうねうねをつくりました。
エポパテでの顔の造形や、パテのまぜまぜなどけっこう使えます。

その3 スポンジやすり(?)

すんません。ちゃんとした名前わすれました。入ってた袋も捨てちゃいました。
紙ヤスリは使っていると消耗してそのうち削れなくなってしまいます。こいつはこの裏がスポンジ状のやすりになっていて、長時間使ってもやすりとしての機能が落ちません。(もちろん目詰まりはありますが)また、やわらかいので、今回のような曲面中心の加工だと面にフィットさせやすく便利です。写真を見てわかるとおり青がウルトラファインでたぶん400番前後、赤がスーパーファインで1000番前後だったような気がします。(まちがってたらごめんなさい。よくわからんでつかってるほうもどうかな)力加減によっても番手がかわるらしいです。他にも番手違いがいくつかありました。

その4 リアルタッチマーカー

GSIクレオスで出している水性のペンで、汚れやぼかしを表現するために使うようです。どこが優れているかというと、ぼかしペンというのがついていて、それでなぞると色がばかせるんです。今回は目玉をかくのに使ったのですが、まちがったらぼかしペンでこすると消えてくれること、また、透過性があるので、クリアパーツに着色するにはちょうど良かったです。

■ 塗装
今回も例に漏れず、めんどくさがり大爆発です。
まずは、せっかくのモーターツールでの表面処理が甘くなるのがいやだったのでサフはつかっていません。
いきなりベースグレーを吹きました。後で気がついたことなのですが、これだけ色が濃いのでグラデーションなどはほとんどわからないし、隠蔽力が強い色ばかりなのでこの作業すらいらなかったように思います。
☆カラーレシピ
基本的にズワース用のダンバインカラーを使用
本体:オーラブルー4
胸・ふくらはぎ・爪類:オーラブルー3
コンバータ内など赤い部分:レプラカーン用オーラレッド4
関節部:セミグロスブラック
羽:クリアブルー
これらの色をブロックごとに組んでから塗装。その後、かく関節固定後にドライブラシ。
ドライブラシはエナメルカラーで
ダークグレー→ダークグレートライトシーグレーの混色→ライトシーグレー→フラットホワイト
羽についてはクリアブルーを根本を中心に吹いてあります。また、はじめのブロック単位ごとの塗装は、エアブラシを使いましたが、組み始めてからは筆塗りが中心です。

■ 固定
「こんなキットだからこそやりがいがある。」といえないとだめですね。まだまだ修行が足りないレオンでした。 今回の固定ポーズで1番悩んだのは、どこからどうやって固定するの?ってこと。ズワースはコンバーターが重く、可動範囲がせまいのでそのままではイメージするのが大変。WAVEの関節入れても強度不足で同じ。仕方なく、とりあえず股関節をがばっと開いて瞬間接着パテで固定。その後、膝、足首と固定後、左肘、右肘、右肩、左肩と同じように固定していきました。ただ、瞬間接着パテを使っていたため、関節のうねうねづくりに夢中になっているうちに本来の角度とちがってしまい、予定のポーズと若干変わってしまったのが「ブー」でした。本当は気長にエポパテあたりでやれば微調整もできるのでしょうけど、なにせ今回は尻に火がついてから時間がほとんど無かったので自分が悪いんですけどね。
最後に100均で買ってきた木製の台に下から細いくぎを打ち、足裏にピンバイスで明けた穴にそれを刺して瞬間接着剤で固定しました。とりあえずこれで完成です。

■ 最後に
いやあ、今回のズワースはえらい手がかかりました。パーツなんか全然合わないし立たないし、プロポーションもブーだし。なんかとっても疲れました。それなりに満足する作品ができたのですが、たぶんもうオーラバトラーはしばらくつくらないと思います。(苦労を忘れた頃やりそうですが)
やっぱ最近のガンプラつくってしまうとダメダメになってしまいますねえ〜。J.J.さんのように 「こんなキットだからこそやりがいがある。」といえないとだめですね。まだまだ修行が足りないレオンでした。