L・GAIM MkU
バンダイ 1/144 エルガイムMkU 使用

制作・文 : J.J.
★ ♪ノーリプラ〜イ きーんの砂〜どけい ひ〜とは〜 こぼれた〜す〜なよ〜

何度聞いてもいい歌ですよね〜!心が洗われるようです。
今回はお題がエルガイムということで、模型道のコラムに書いたようないきさつで、このキットを作ることになりました。
永野メカはどれも好きなんですが、繊細すぎないデザインのエルガイムシリーズは特に気に入っています。
中でもこのMkUは全てのリアルロボットの中でもぼくのベスト3に入る機体ですから気合も入りまくりです!

■ 時間がない!

制作テーマの期間は2月1日〜4月30日までの3ヶ月なんですが、
2月は地元模型サークルのコンペに出品したジン・ハイマニューバに使い、
3月は仕事でまるまる1ヶ月キットに触れずに終わってしまいました。
そして気がつけばエイプリール・フール・・・。
昔の古いキットを組むのに30日しかなくなってしまいました。
これで満足のいく作品ができるのか不安になってきましたが、考えていても始まりませんからとりあえずスタートします。

■ キットのチェック
仮組みをする時間ももったいないのでプロポーションに関しては完成写真でチェックします。
意外にプロポーションに関してはこれはヘンでしょ、みたいなところはなく、いやむしろ結構いいカンジです。
手足のバランスもいいですし、胴体もコレといってケチをつける部分もありません。
しいて言うなら肩がもう少しイカっていてもいいかな、くらいでしょうか。
しかし、設定画を見てももともと肩はそんなにイカってませんので気にしなければ気にならないていどです。
もちろん細かい部分は気になるところはたくさんあります。
まず旧キットではお約束の「手」。
お粗末極まりないカタチです。
アタマも正面から見ると何か四角くてイマイチです。
関節の動きなどは写真を見てもわかりませんので、胴体部、腕部、脚部はそれぞれ仮組みしてみました。
まず驚いたのはパーツの多さです。
エルガイムシリーズの他のキットと比べても結構なパーツ数です。
よく見てみると、ポリキャップの形のパーツがプラでできていて普通のパーツとしてランナーにつながっています。
こいつらをパチパチ切って組んでみてさらにビックリ。
よく曲がるんですよね、これが。
このキットはプローラーに変形できるようになってるんで、関節がよく動くんです。
可動範囲もそこそこありますから、関節部は大きな改造はしなくてもよさそうです。
ぼくの場合、完成品で遊ぶわけじゃないので変形するとかものすごいギミックとかは要りません。
ただキメたいポーズをとれるように可動させられるかどうかがポイントです。
そんなわけで、今回は・・・
1.各関節部の後ハメ化
2.それに伴い主要関節部の可動範囲を拡大
3.「手」の自作
4.細かい部分のディテールアップ
の4つをテーマに決めました。とにかく時間がないので、キットを最大限に活かしつつ、いかにカッチョよく仕上げるか・・・といったところなんですが、果たしてどうなることやら・・・。

■ 胴部
まずは胴体からです。
とくにいじる部分はありませんが、頭、肩、腰の各部の受け部分をポリキャップに置き換えてあります。
元々同じようなカタチのプラパーツを仕込むようになっているので、市販のポリキャップがほぼピッタリとはまります。
注目は肩のところ。
ボディの穴を少しだけ広げてやればスイングできるんです!
感心しながら接着しました。
お約束のようにパーツの合いは悪いので、合わせ目付近のカタチが複雑な部分を優先して、そこに合わせるようにします。
下腹部(この呼び名でいいのかな?)は股関節のパーツを組んでそれをパンツの中にセットする構造になっています。
この股関節となるパーツの後ろを少し切り欠くと、ちょっとですがガニ股の角度を広くすることが出ます。

■ 腕部
ここから少し手を入れていきます。
腕の関節は後ハメにしなければいけない部分が4箇所あります。
上の写真のように接続部を切り欠いてやることで簡単に後ハメにできます。 ただ、パーツはポリに置き換えてませんから、調子に乗って何度もはめたりはずしたりしてるとユルユルになってしまいますので気をつけましょう。(と自分に言い聞かせる)

肘から下(腕パーツ)は手首とのジョイント部にポリキャップがピタリとはまりますからそれを挟んで接着するだけでOKです。
そして問題の「手」です。

コレがデフォルトの「手」なんですが、ショボいうえにちっちゃいんです。しかもグーにいたっては何か掴んでるし・・・。 たしかに設定資料を見ても、プロの作例を見ても、ヘビーメタルの手はそんなに大きくはないんですが、ぼく的にはなんかカッコよく見えません。当然作り直します。
手をいくつも作ってる時間はないので右手はパー、左はグーにすることにしました。
まず、指を全部落として、エポパテで手のひらを作ります。元のカタチより一回り大きくしました。
最後に手首関節のボールジョイントのオスをつけますので、手のひらの厚みもつけておきます。
このとき、残ったパテを細い棒状にして硬化させます。

パテが硬化したら、デザインナイフとヤスリで成形します。グーのほうは模型道でやったのと同じなんで省略します。

パーのほうは、棒状にして硬化したパテを切って指を作って手のひらに接着します。本当ならここは0.5mmの真鍮線で補強するんですが、手抜きしてそのまま瞬着で付けただけにしちゃいました。この手抜きが後の悲劇を生むとも知らずに・・・。
で、こんな感じになりました。大きさはまぁまぁなんですが、指が長すぎました。それと、もう少し握ったカンジのほうがいいかな、と、やり直し。
そんな事を何度か繰り返してカタチを作ります。

ここまでの作業で左のようになりました。
バスターランチャーがもてるようになっています。
手首は3mmの穴を開けると、アタマ3mm、棒2mmのボールジョイントパーツ(♂)が入ります。
そして、ポリパテで親指の付け根を作ります。
設定上ではヘビーメタルの手はラバー製の手袋みたいになっていますので、
関節などに継ぎ目が出ないようにしないといけません。手のひらと指の接合部は、瞬着を流して固めた後、ポリパテを盛ります。
同様に手袋にはモールドが入るんですが、これは難しいのでオミットしました。
パテ硬化後のヤスリがけで悲劇が・・・
指の接着の際に真鍮線で補強するのをしなかったので、ヤスリがけは慎重にやったんですが、
接着部が折れる折れる・・・。
これには泣かされました。ちょっとの手間を惜しんだばかりに倍の手間がかかるいい見本でした。


■ 脚部
お次は足。関節部が複雑になってますが、やることは一緒。結構簡単です。

まずはモモのパーツ。
股関節を差し込む穴を上方向に少し広げておきます。これで足の開きの角度が少し大きくなります。
このパーツでも受け部分にポリキャップがジャストフィット!
ポリキャップを挟んで接着し、合わせ目を消していくんですが・・・
このパーツだけが異様にモールドが浅いんです。写真だとよくわかりませんが、モールドは最初から半分消えたみたいになってますので、ライン部分はケガキ針、丸いモールドはドリルを使って全て彫りなおしました。
ここまでひどいのはあまりないんですが、モールドが浅いパーツは他にも結構ありますので、見つけたら深くしておかないといけません。

ヒザの関節は2重関節になっていて可動範囲は確保されていますから、何もいじらずに後ハメ加工のみとしました。
この部分の後ハメ加工は、基本的に輪になっているパーツの切り欠きだけでいいのですが、1番太い関節はオスメス逆にしないといけまんから、ポリランナーを使って加工してあります。

このヒザ関節で問題なのは脛パーツに挟むパーツです。関節部の後ハメは簡単なんですが、脛パーツとジョイント部分はカタチが独特で加工しにくいので、くっつけちゃいました。

脛パーツを接着するときには足首関節にボールジョイントを仕込んどきます。
横方向のパイプ状になっている部分を少し削って、穴にエポキシパテを詰めてジョイントパーツを挟むとしっかり固定できます。

最後に足首ですが、その前にかかとのパーツ、内側にくる面がスカスカなので、エポキシパテで埋めておきます。
(ついでに他のパーツの突き出しピン跡も埋めてます)
このかかとパーツはキットのままだと2つのパーツは1緒に動くようになっているので独立して動くようにしました。
とりあえず3mmの穴を開けておきます。
下の写真は足首パーツ。
右が元の状態なんですが、この小さいパーツに足首、つま先、かかとのジョイントが付いていてかなり複雑なカタチになっています。
足首の関節部を削り落としてボールジョイントを差し込む穴を開けます。が、まっすぐ開けるとかかと関節の穴にぶつかりますので斜めに開けないといけません。

つま先部分は、根元と先端、2箇所を後ハメにしたいとこですが、時間的に
難しかったのでやってません。

■ 頭部
上は素の状態です。この1/144キットの頭部については、さまざまなメディアやモデラーにボロクソに言われているんですが、ぼくは結構好きなんですよね。
むしろ1/100のほうが潰れたカンジでかっこ悪い・・・。
今回はこの原型をいかしたディテールアップをしました。
まず、底の部分は塞がってますので関節のピンごと削り落としてしまいます。
ディテールアップは真横とあご下のホース部分ですから、ケガキ針とデザインナイフで、これらホース部分をカットします。

このままだと、後でホースを付けたときに中が丸見えになっちゃいますから、「首」になる部分を作っておきます。写真撮るのを忘れちゃって(コラコラ・・)画像がないんですが、Pカッターでスジを入れた0.2mmのプラ板を丸めて押し込んでみました。瞬着で固定し、最後にパテを詰めてボールジョイントのオスを挿します.。これは塗装後でもできるので、ここでは放置します。
ほっぺたの部分を少しだけ削ってシャープな感じにしとくのと、アタマの先端を少し削ってちょっとだけとがらせてみました。
最後に各モールドをケガキ針で彫りなおしてひとまず頭部は加工終了。首の関節とホース類は後回しです。

■ トラブル!
これで改造する部分はほぼ終了です。残ったパーツを組んで、よ〜く洗いサフを吹きます。今回は1200番のグレーサフを吹きました。
丁寧にやったつもりでも出てくる出てくるキズやアラの数々・・・。目立つものは修正してサフを吹きなおしましたが、おや?パーツになにやらスジのようなものが・・・。
なんと合わせ目を埋めたラッカーパテがヒケているではあ〜りませんか!モモ、ヒザの部分にその現象が。接着剤の乾燥に2日、パテの乾燥に2日置いたのですが、どうも足りなかったようです。
仕方なく瞬着で埋めて削りなおしたのですが、ラッカーパテのトラブルはここんとこ頻繁におこっています。合わせ目に入っていかなかったり、乾燥後にヒケてみたりと、時間が経ってから起こるトラブルはホントに困りますね。
だからといって乾燥に4日も5日も待てませんから、次回から合わせ目には瞬着を使うことにします。

■ 塗装
サフも無事に吹き終わり、いよいよ塗装です。
ぼくのブログでも書きましたが、エルガイムの作例を見てみると、
● パール塗装
● 表面は光沢テカテカ
● グラデーションはナシ
ってなカンジのが多いんですが、写真になると、確かにキレイではあるんですがどうものっぺりしてなんかオモチャっぽい気がします。スケール感がないというかなんというか・・・なんですよね。そこで、今回の塗装では、 ○ メタリック塗装
○ 表面は半光沢
○ 控えめなグラデーション
と、トレンドに逆らった仕上げにしようと思います。え?いつもと同じ?そこは気づかなくてもいいとこですよ。
というわけで塗装を始めました。
ベースグレーをエッジメインで吹き、カラーを乗せていきますが、パーツが1体成形なので塗り分け部分が多い多い!

ほとんどの部分でこんなカンジでマスキングをしないといけません。
これはかなり大変な作業です。
エルガイムmkUはメインカラーが4色ですが、この塗り分けのせいで単純に明るい色から塗っていくことができません。
ですから、2度手間にならないように塗装の段取りを考えながらの作業になります。
カラーはオリジナルです。
本体ライトグレー部分は、ホワイト4:キャラクターホワイト4:シルバー1.5:ブラック、ブルー各少量
背中のユニットの黒はベースグレー
関節部等の茶色はレッド、イエロー、ブラック、ゴールドを適当に混ぜて作りました。
赤い部分は、オレンジ5:レッド4:ゴールド1
パーツは小さいものも多いんで、グラデーションもシビアでした。
全てのカラーを吹き終えたら、マスキングしきれなかったところや、はみ出したところをリタッチして修正し、半光沢のトップコートを吹きます。
首、腹、手の設定上ラバーでできている箇所については、塗った色は同じでトップコートをフラットにしてあります。

■ そして悲劇・・・
塗装も無事に完了し、それぞれのパーツをはめ込んでいると・・・
パキッとイヤな音が。

やっちまいました・・・。
ヒザパーツの後ハメ加工をしたヤツなんですが、はめようとしたらこのとおり。
こうなると元に戻すのはほとんどムリです。
仕方なくこの関節はゼリー状瞬着で固定するしかありません。
せっかくいい動きをする関節だったのに死んでしまいました。もったいないですね。
気をとりなおして作業を続行していきます。
ポリキャップを使わないで後ハメにする場合、関節部に塗装したりテープを巻いたりして緩くなるのを予防するんですが、それをやってもプラプラになってしまうところがありました。左の肩なんですが、何度もはめたりはずしたりしてるのが怖くなって、ここも瞬着で固定・・・。いったい今まで苦労して後ハメに加工した意味はあったのか?まったくむなしい限りです。

組み上げているとろ。
結局、左半身はほとんど動きません。
バスターランチャーを抱えるポーズと立てて持つポーズがとれればよしとしよう(泣)
ここまでできたところで頭部の仕上げです。
アタマの中にエポキシパテを詰めて、ボールジョイントのオスも丸いほうを差し込みます。
ホースは2種類。横の太いのは市販のメッシュホースにアルミ線を通したもの。
赤いのは10芯コードをエナメルの赤で塗装したものを取り付けました。

■ 完成!
どうにか全ての工程が終了しました。立ち姿がいいだけに可動しないのが残念です。しかし、製作開始から50日ですからこんなものだよ、と自分を慰めつつ写真撮り。
機材をセットしてポーズを決めて・・・
ボトッ (とまたイヤな音)

バインダを取り付けている肘のアーマー部分が根元からボッキリと・・・
最後の最後までこれですか〜!!
泣きながら瞬着でくっつけます。が、なかなかくっつかないんですよ、コレが。
「付けてはボトッ」を何度か繰り返しようやく落ち着きました。
これでようやく撮影できるようになりました。
「ハイ!ポーズ!」

どーです?なかなかカッコイイでしょ?

あ、あれ?なんか脛のところのフックがおかしいな・・・。
って、ちゃんとはまってないじゃん!
何度もハメますがどうもピタッと止まりません。おかしいじゃん、これ!
と仕方なく3度目の瞬着止め!
これでようやく完成となりました。

■ 最後に
こんなオチですみません。
今回は久々に当時モノを組んだんですが、自分の未熟さを思い知る結果となってしまいました。
まずなんといっても古いキットの構造的なもろさを甘く見すぎてましたね。
関節に限らず、いろんなところが弱いんですね。特にヘビーメタルは元のデザインが細いのでなおさらです。
それと後ハメに関しては、手を抜いてポリパーツに置き換える作業を怠るとホントに後からハメるだけで、可動できないような関節になってしまいます。
結局、今回の作例では何がよかったのよ?ときかれると自分でも「?」ってことなんですが、頭部の加工、股関節の可動範囲拡大、足首とかかとの関節の自作、手の自作は、効果があったかなと思います。
何だか完成したのに、今ひとつ充実感がありません。(もちろんうれしいんですけどね)
ヘビーメタル、もっとウデを磨いて絶対リベンジでしょう!

May.2006  J.J.